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雨宿りノオト

雪と詩情中畑智江『同じ白さで雪は降りくる』

詩的な情緒というのは、手で雪をつかみ、握りしめたら感触だけを残して消えてしまうようなものだ、と詩人の高橋陸郎さんが語っていた。意味がしっかりと残らなくてもいい。つかんだような感覚のみをそっと残し、余韻を響かせるような美しさもある。僕もそんな風に書けたらなと、消えていく手のひらの雪を思い浮かべながら思う。

中畑智江さんによる、『同じ白さで雪は降りくる』という歌集がある。数年前、持病の影響もあって短い文章が書けるようになれたらということから、短歌をつくってみようと思い立ち、ひとまず色々な短歌を浴びてみた。この本は、そのなかで出会った好きな歌集の一つだ。

生活と空想の世界は、なかなか共存しづらく、ややもするとどちらかに寄ってしまいがちになる。でも、中畑さんの歌は、その二つが自然な形で溶け合っている。日々を見つめる眼差しに、詩的な膜がかかっている。いつも、底にはほんのりと悲しみが流れている。その距離や温度感が心地よい。

歌集のタイトルにもある通り、中畑さんの眼差しの向こうでは、よく雪が降っている。軽やかな、儚い雪だ。雪と詩情の結びつきを思うとき、僕は中畑さんのこの歌を思い出す。〈一夜にて街を真白にする力あれども雪は手のひらに消ゆ〉。