本文へ

雨宿りノオト

余白の音楽Pidalso『piano and me』

子供の頃に習っていたこともあってピアノの音色には親近感を抱く。といっても練習は嫌いだったし、むしろそのせいか、ピアノの曲を聴くようになったのは、ずいぶん大人になってからのことだった。

音楽や楽器のことについてもそれほど詳しいわけではないけれど、ただ僕は、ピアノの音色は、弱っている心に優しく、風や木漏れ日、夕日や水滴などの映像がふっと浮かぶような、自然に近い音色だなと思う。そして、そういった音楽に触れていると、心がすっとあるべき場所に戻ってくるような感覚になる。

僕のなかでそんな風に本来の呼吸や佇まいを思い出させてくれる音楽家の一人に、韓国のピアニストのPidalsoさんがいる。

もともとは、彼女のYouTubeにあがっていた、ジブリの曲や日本映画のサントラのカバー演奏を通して出会った。カバー曲ながら、聴き慣れたメロディの奥から確かなPidalsoさんの光が届いてくるようで、その色合いに惹かれ、オリジナル曲も聴くようになった。

オリジナルアルバムの『piano and me』を流していると、寂しさのなかにそっと差し込むような、冬の淡い光の光景が思い浮かぶ。静かな余白で包んでくれるような音楽だと思う。